上級リポート【上島町ゆめしま海道ライド】2018.5.20
リポート:KenGo
5月も中盤を過ぎると、日の出は早い。
6時をすぎたこの時刻、徐々に明るさを帯びてきた海岸線を、2つの光源がチカチカと点滅しながら疾走していた。
速度からするとスクーターかオートバイか。
近づくにつれ、聞こえてくはずのエンジン音が一切届いてこないことに不気味な感じを抱く。
ごく僅かに聞こえるのは、金属が擦れるようなシャーシャーという一定周期の音。
真横を通り過ぎる時、それは乗り手が極端に伏せた姿勢をとる自転車であったことに気が付いて驚かされる。
2台の自転車が前後の間隔をギリギリまで詰めて、まるで一つの乗り物であるかの如く走り抜ける。
よくよく観察すると、前車の乗り手は背中をほぼ地面と水平に保ったまま、屈強そうな背筋で下半身の上下動を受けて止め、上体を微動だにさせずペダルを漕ぎ続けている。
後車の乗り手はそれとは対照的に、少し体を起こし気味に、背中の筋肉をうねらせ、さながらマラソンでも走っているかのような躍動的な漕ぎ方で自転車を走らせている。
両者に共通しているのは異常に発達した大腿部と、まるで彫刻で削ったかのように陰影がついた脹脛(ふくらはぎ)を持っていることだ。
二人の乗り手とも、体に張り付くようにピタリとしたウェアで身を包んでいる。
デザインも同じものだ。おそらく同じサイクリングチームの仲間なのであろう。
目を引くえんじ色をベースに、背中に大きな羽が生えたようなデザイン。
アルファベットで「Raku-Rin.C」とあるが、それが彼らのチーム名なのだろう。
脇腹に白い水玉模様が配されているのが特徴的だ。
余談であるが、世界の自転車乗りにとって、水玉模様というのは特別な意味を持つ。
自転車ロードレースの最高峰「ツール・ド・フランス」において、山岳区間で最も速いクライマーに与えられる「山岳賞」ジャージが白地に赤い水玉模様であるからだ。
このようなデザインのウェアを身につける自転車乗りは、日本に数多存在する「自称」クライマー達の標的にされること請け合いである。
それを知ってか知らずか、彼らのウェアの水玉デザインは色味を反転させ、なおかつサイドに控えめに配されていた。
2台のうち、後ろの自転車の乗り手がサドルから腰を浮かし、一層走るような姿勢でペダルの回転を上げ、先頭の自転車の横に並んだ。
向かい風が強烈なのであろう。風の音に負けないように大声で何事か声をかけ、それを聞いた先頭の乗り手はコクリと頷き返すとほんの僅か足を緩め、そのタイミングと同時に横に並んできた自転車が、その前の空間にスルリと入り込んだ。
一瞬にして自転車の先頭が入れ替わる。
2台の隊列は再び一匹の獣となり、吹き荒れる向かい風の空気の壁を切り裂き、人力とはおよそ思えないような速度で、海沿いの道路を北に向かって走り抜けて行った。
同じ頃、県の中部と北部を分かつ山岳地帯の別ルートでも、同じくえんじ色に大きな羽をあしらったウェアに身を包んだもう一台の自転車が、北を目指し走っていた。
いつもは車と遜色ないスピードで駆け抜けることができる長いトンネルの中だったが、今日は北東からの強烈な風を受けた山々から、トンネルめがけて流れ込む大気の激流に苦闘していた。
「これは、時間通りに着けるかな...」
独り言ちた自転車乗りは、一層姿勢を低くすると右手のレバーを内側に倒し、一枚重くしたギアでペダルに力をかけ、速度をジワリと上げた...
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いつもと趣向を変えて小説風に書き出しましたが、このペースで書くと一年ぐらいかかりそうなので止めときます〜^^;
ゆめしまライドの詳細は他の班のリポートで十分お分かりだと思いますので、あとは淡々と(笑)トピックスを中心に書きます^^
らくりんサイクルの5月定例グループライド、上級班はヒロさん、イワちゃん、KenGoの3名。
出発の集合地点は今治市のサンライズ糸山で、皆んな自走で集合。
冒頭にあったように、ヒロさんとイワちゃんは北条の海岸線を(どっちがヒロさんで、どっちがイワちゃんの描写でしょう^^)。
私は玉川越えのルートで集合場所を目指しましたが、いきなり強烈な向かい風で先制パンチを浴びせられます。
この時期にしては珍しい風向きで、三人はスタート地点までに相当に脚を使ってしまうことに...
糸山のコンビニ横付近で、えんじ色に大きな羽を背負ったジャージの二人組を発見!
海岸線組のヒロさんとイワちゃんでした^^
二人にドッキングし、三人仲良くサンライズ糸山に到着。
糸山を出発し、大島ではお約束の「亀老山」攻め。皆んな自己記録を更新。
この時点でほぼ全力を出し切ったので、後は絞りかす状態で延々200kmほど走らなければなりません...
もちろん私以外の二人は、スピードだけでなく驚異のスタミナも併せ持っているので、その限りではありませんが^^;
有名なコロッケを食べようと瀬戸田を目指しますが、向かい風で思うようなスピードを維持できません。
ヒロさんの素早い判断でコロッケは帰りに寄ることにして、最短距離で洲江港を目指します。
...のはずが、生口島で痛恨のコースミス!
向かい風に気を取られ、うっかりと北側ルートを通っていたことに誰も気がつきませんでした(笑)
Uターンをして南側ルートで激走しますが、途中でフェリーの出航時間となりタイムアップ〜
アドレナリンが切れた一行は、あからさまにペースダウンをしつつ洲江港に。
幸い、すぐに次の便が来たのでそそくさと乗り込んで、いざ「ゆめしま海道」へ!
「ゆめしま」最初の島は岩城島。
ゆめしま最大のヒルクライムポイントである「積善山」へ向かう山猿組一行は、スタート地点直前で中級班に遭遇!
(中級班と遭遇する山猿組)
積善山への入り口を教えてもらい、いざアタック開始!
途中で、反対側から登ってきた初級班の皆さんとも遭遇^^
積善山付近にみんな集まっていたのですね〜
アタック後は初級班と一緒になって岩城港まで降ります。
にゅうさん達とあれこれ喋りながら、楽しいひと時です。
岩城の「よし正」での昼食後、お店の駐車場で集合写真を撮影。
しばらくメンバーたちと自転車談義に花を咲かせる、至福のひと時を。
この後、他班のメンバーとは別れ、上級班は別行動。
港に隣接する「リモーネ・プラザ」を、追加の補給食を求めて物色します。
岩城の特産品のレモンを使ったケーキなどを買い込み、屋外のテラスでフェリーが来るのを待ちます。
小型の高速艇が港に入港。
係の方が手慣れた様子でロードバイクを後部に積み込んくれたので、私たちはキャビンに。
高速艇は軽快に海の上を疾走して、あっという間に佐島港に到着。
港から南下するアップダウン連続のルートを走ると、世にも珍しい「Uターンするブルーライン」にたどり着きました!
ここで撮影タイム & チェーン落ちを多発していた私のバイクの調整をヒロさんにしていただきました^^
佐島を後にし、立派な橋を渡って弓削島へ。
弓削島もぐるり一周を果たし(南半分側もアップダウンがきつかった〜)、生名島から因島に渡って「ゆめしま海道」セクションは終了〜
因島の自転車神社に寄り、その後、生口島の瀬戸田で念願のコロッケを食べることができました♪
お店のおばちゃんに、
「さっきもその服着た人がコロッケ食べに来たよ」と言われました!(◎_◎)
昼からソロライドで激走してきた「しまなみ海道LOVE男子・のんのんさん」のことですね。
我々より一足先にコロッケをゲットしていたようでした!
しかし、チームジャージの効果、恐るべしですね〜
糸山からの帰りは、玉川経由の山越えルートをチョイスする元気もなく(笑)、ヒロさん達のトレインに乗らせてもらって海岸線で帰宅しました。
ゆっくり曳いていただき、感謝です〜^^
しかし、ヒロさん、イワちゃんの持久力にも改めて驚かされたライドとなりました。
今回の上級班は概ね(自走部分を含め)250km前後のロングライド。らくりん定例ライドでは最長距離、かつ最も強度の高いライドでございました。
(KenGo)
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